糖尿病専門医による診療をはじめ、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)の管理栄養士、看護師を中心に栄養指導や生活習慣の指導を行います。
新規のインスリン導入や適切な糖尿病薬の選択、血糖自己測定(SMBG)指導など専門的な医療も行います。
生活習慣病
糖尿病以外に、脂質異常症(高脂血症)、高血圧症、肥満症の診療を行います。
生活習慣病は動脈硬化(脳梗塞や心筋梗塞の主な原因)の大きなリスクであり、動脈硬化の評価として頚動脈エコー、脈派検査を行います。
内科一般
風邪、胃腸炎、花粉症など一般的な内科診療も行います。
予防接種
インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンなどの予防接種を行っています。
禁煙外来
喫煙は動脈硬化のリスクです。健康保険の適応になりました。
AGA(男性型脱毛症)〈自費診療〉
プロペシア(フィナステリド)内服治療です。AGAの大きな要因と考えられているのはDHT(ジヒドロテストステロン)という物質です。フィナステリドはDHTの発生を抑える薄毛治療薬です。その他にミノキシジル配合外用液治療もあります。
糖尿病の合併症(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害、糖尿病と動脈硬化、感染症)
糖尿病の患者さんは年々増加の一途をたどり、すでに40歳以上の3人に1人が
糖尿病あるいは糖尿病の疑いがあるといわれています。
2007年、国民健康・栄養調査によれば「糖尿病を強く疑われる人」は890万人、2012年の同調査では950万人、2016年の同調査では1000万人と推計されています。では、これほど多くの患者さんが増え続けている糖尿病とはいったいどんな病気なのでしょうか。
糖尿病とは、簡単に言うと血液中のブドウ糖(血糖値)が正常より高くなる病気です。血糖値が高くなるとすい臓からインスリンというホルモンが分泌されて血糖値が下がるのですが、糖尿病の人ではこのインスリンの分泌量が少なかったり、インスリンの働きが不十分だったりで血糖が下がりにくくなるのです。特に日本人では欧米人と比較しインスリンの分泌量が少ないのが特徴で、軽度の体重増加でも糖尿病を発症しやすいと言われています。そして血糖値が高い状態を放置するとさまざまな合併症が起こってきます。主な合併症に糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経症、そして高血糖が招いた動脈硬化による脳梗塞、心筋梗塞などがあり、また感染症にもかかりやすくなります。近年は歯周病が重症化しやすいこと、癌や認知症との関連も言われています。
糖尿病の合併症
1 糖尿病網膜症
血糖コントロール不良の糖尿病患者さんでは数年程度で発症することが多く、かなり進行していても一般的には自覚症状がないため眼底検査を受けないと診断ができません。
進行すると失明に至る怖い合併症です。糖尿病と診断された方は症状がなくても定期的に眼科で眼底検査を受けてください。
2 糖尿病腎症
通常の尿検査で診断を行います。早期の糖尿病腎症の診断はごく微量の蛋白尿を
尿アルブミンとして測定します。糖尿病腎症も自覚症状のないまま徐々に進行し腎不全から透析に至る怖い病気です。早期腎症の時点で診断し血糖コントロールと血圧をきちんと管理することによってかなり進行を予防することができます。
3 糖尿病神経障害
合併症の中で比較的最も早期に出現し頻度も高い合併症です。両足のしびれ感や痛み、感覚の低下、こむら返り、下痢、便秘、起立性低血圧などさまざまな症状が出現します。
早期の神経障害は血糖コントロールによって治療できますが、進行すると障害は治らず症状を薬などで緩和する対症療法が主体となります。
4 糖尿病と動脈硬化
血管の内側の壁が高血糖にさらされることで障害を起こします。この状態が長く続くと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞が起こりやすくなります。心筋梗塞や脳梗塞については、正常より少し血糖値の高い糖尿病予備軍の段階からすでに起こりやすくなると言われています。動脈硬化を進めないためには血糖コントロールのみではなく合わせて高脂血症、高血圧、のコントロール、肥満の解消、禁煙が大切です。
動脈硬化の程度を知る検査として当院では頚動脈エコーと脈波検査を行っています。
頚動脈エコーでは頚動脈の内側の壁の厚さを測定しプラーク(脳梗塞や心筋梗塞の原因となるもの)の有無を知ることができ、脈波検査では血管の硬さや詰まり具合を調べます。
5 感染症
糖尿病の患者さんは血糖コントロールが悪いほど感染症にかかりやすく、治りにくい状態になります。膀胱炎をはじめとした尿路感染症、水虫などの皮膚の感染症、特に足の傷の感染症は足壊疽(足がくさる)の原因にもなり得ます。また、手術や抜歯後の化膿もしやすく術前の血糖コントロールなどの対策が望まれます。
糖尿病の血糖コントロール目標
日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023,P34,文光堂,2022
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは過去1-2ヶ月間の血糖コントロールの平均を表す検査値で血糖コントロール状態の大切な指標です。
血糖コントロールの目標は患者さんの状態(合併症の有無など)により異なります。
HbA1cの目標値については主治医と相談されることをお勧めします。
糖尿病の治療と開始時期
当院では糖尿病専門医の医師と糖尿病療養指導士の資格をもつ管理栄養士、看護師をはじめとしたスタッフによるチーム医療を心がけています。糖尿病の治療では患者さんひとりひとりの状態により、ご本人とご相談しながら食事療法や運動療法、さらに必要な場合は薬物療法と進めていくことが望ましいです。近年、糖尿病治療の進歩はめざましく、患者さんの状態に合わせたさまざまなオーダーメイドの治療ができるようになってきました。当院では病態に合わせた経口血糖降下薬の選択から外来でのインスリン導入やGLP-1受容体作動薬の導入あるいは他の治療からの切り替えも行っております。より良好な血糖コントロールを実現できるよう患者さんとご相談しながら適切な治療法を選択していきたいと考えています。
1 経口薬
現在発売されている経口血糖降下剤には以下のものがあり病態に応じて使い分けています。
●インスリン分泌非促進系
・α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)
・SGLT2阻害薬
・チアゾリジン薬
・ビグアナイド薬
●インスリン分泌促進系
〈血糖依存症〉
・イメグリミン
・DPP-4阻害薬
・GLP-1受容体作動薬
〈血糖非依存症〉
・スルホニル尿素薬(SU薬)
・速効型インスリン分泌促進薬:グリニド薬
機序 | 種類 | 主な作用 | 単独投与による 低血糖のリスク |
|
インスリン分泌非促進系 | α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI) | 腸管での炭水化物の吸収分解遅延による食後血糖上昇の抑制 | 低 | |
SLGT2阻害薬 | 腎臓でのブドウ糖再吸収阻害による尿中ブドウ糖排泄促進 | 低 | ||
チアゾリジン薬 | 骨格筋、肝臓でのインスリン抵抗性改善 | 低 | ||
ビグアナイド薬 | 肝臓での糖産生抑制 | 低 | ||
インスリン分泌促進系 | 血糖依存症 | イメグリミン | 血糖依存性インスリン分泌促進 インスリン抵抗性改善作用 | 低 |
DPP-4阻害薬 | GLP-1とGIPの分解抑制による血糖依存性のインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制 | 低 | ||
GLP-1受容体作動薬 | DPP-4による分解を受けずにGLP-1作用増強により血糖依存性のインスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制 | 低 | ||
血糖非依存症 | スルホニル尿素(SU)薬 | インスリン分泌の促進 | 高 | |
速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬) | より速やかなインスリン分泌の促進・食後高血糖の改善 | 中 | ||
インスリン製剤 | ① 基礎インスリン製剤(持効型溶解インスリン製剤、中間型インスリン製剤) ② 追加インスリン製剤(超速効型インスリン製剤、速効型インスリン製剤) ③ 超速効型あるいは速効型と中間型を混合した混合型インスリン製剤 ④ 超速効型と持効型溶解の配合溶解インスリン製剤 |
超速効型や速効型インスリン製剤は、食後高血糖を改善し、持効型溶解や中間型インスリン製剤は空腹時高血糖を改善する | 高 |
日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド2022-2023,P40,文光堂,2022
2 注射薬
近年、注射器具はかなり改良され、痛みもほとんど無く、ペン型注射器は携帯にも便利で使い方も簡単になりました。適切な時期にインスリンを始めることで血糖コントロールは改善し、インスリンから離脱する方も多くおられます。経口剤と併用する場合もあります。
インスリン製剤: 超速効型、速効型、中間型、混合型、持効型を病態に応じて使い分けています。
インスリン以外の注射薬:GLP-1受容体作動薬
3 糖尿病治療を開始する時期は?
まだ、血糖が少し高いだけで症状もないので様子を見ていて大丈夫でしょうか?
いいえ、答えはNOです!!
糖尿病はできるだけ発症早期に治療を開始することが大切です。
日本人の糖尿病の多くを占める2型糖尿病でも、すい臓のβ細胞(インスリンを分泌する細胞)が傷害され徐々に減少していくことがいわれています。まだβ細胞が比較的多く残存すると思われる初期のうちに糖尿病の治療を開始すれば、少量の薬にも良い反応が期待でき、優良な血糖コントロールが実現しやすくなります。より正常に近い血糖コントロールを維持できれば正常な人と変わらない合併症に苦しまない生活を送ることが十分可能です。むしろ糖尿病を発症したことで、健康に気を使うようになり以前より元気になられる患者さんも沢山いらっしゃいます。
進行すれば薬の効果も変わってくるので治療を先送りして良い事は何もありません。
重症の糖尿病とは
インスリン注射をしている人は重症の糖尿病だと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは全くの誤解です。糖尿病の重症度とは合併症の程度によるものです。インスリン注射をしていても血糖コントロールが良好で合併症なし、あるいは軽度の合併症ならば糖尿病としては重症ではありません。むしろ適切な時期にインスリン療法を始めることで血糖コントロールは良好となり、中にはインスリンを離脱し飲み薬に切り替え、さらに飲み薬も中止するまでに改善することさえあります。
健康な人と変わらない日常生活の質の維持を
近年糖尿病治療はめざましく進歩しておりますが、それでもなお、糖尿病治療の土台になるものは食事療法をはじめとした生活習慣の改善です。ですから血糖コントロールの主役となる患者さんとしては大きなストレスを受ける方が多いのです。このストレスを乗りこえ糖尿病と永く前向きに付き合っていかれることを応援する仲間が糖尿病のチーム医療スタッフです。私たちは、患者さんが将来的に合併症によって日常生活の質を損なうことが無いように使命感を持ってご一緒に治療に取り組み、良い状態を継続できるよう応援していきたいと思っております。
●心電図 | ●血圧脈波検査装置 | |
●ヘモグロビンA1c測定器 | ●単純レントゲン | |
●超音波診断装置(エコー) | ●検尿測定器 | |
●血糖測定器 |
●受付 | ●待合室 | |
●診察室1 | ●診察室2 | |
●栄養指導室 | ●処置室 |
当院では近隣の病院をはじめとしていろいろな病院と連携し、地域医療を行ってまいります。入院治療や専門的な診療が必要な場合には、患者様とご相談の上、ご希望される総合病院や大学病院へご紹介いたします。
主な連携病院
●関東労災病院
●川崎市立川崎病院
●川崎市立井田病院
●日本医科大学武蔵小杉病院
●聖マリアンナ医科大学東横病院
●済生会横浜市東部病院
●川崎幸病院
●虎の門病院
●関東中央病院